星野誠 makoto hoshino

「休眠アカウント」のような人生

2026.3.2

「年を重ねれば、自動的に立派な大人になれる」

若い頃、僕はどこかでそう信じていた。けれど、47年という歳月を駆け抜けてきた今、はっきりと思うことがある。

「気を付けろ。中身が学生のまま、ただ数十年という月日を積み重ねて『大人』というラベルを貼っているだけの人が、実は世の中の大半だ」と。

最近、自分の仕事の整理をしていて、あることに気づいた。僕が持っている会社の一つに、ほとんど動かしていない「休眠状態」のまま、17期目を迎えているものがある。

書類上は「17年の歴史」がある立派な会社だ。けれど、中身はどうだろう。新しい挑戦も、失敗も、そこから得た学びも、この数年間はまるで生まれていない。ただ「存在しているだけ」の17年。

これ、実は人間の人生も同じことが言えるのではないだろうか。

世の中には、数十年というキャリアを持っているように見えて、実は「1年分の経験」を数十回繰り返しただけの人――つまり**「人生が休眠アカウント」になっている人**が、意外なほど多い。

「経験を積む」というのは、ただそこに居続けることではない。昨日とは違う問いを自分に投げかけ、リスクを取って一歩踏み出し、痛い目を見て、そこから「自分だけの判断軸」を削り出していくプロセスだ。

  • ログインしていない
  • アップデートもしていない
  • ただ“存在している”だけ

そんな状態で年数だけ重ねて、「ベテラン」のような顔をする。けれど、その実態はどうだろう。

挑戦していない。失敗していない。更新していない。

そのプロセスを止めてしまった人は、たとえ50歳、60歳になっても、中身は学生の頃からアップデートされていない。むしろ、変なプライドや「常識」という名の鎧を身にまとってしまった分、素直に学べる学生よりも厄介になっていることさえある。

だから、「大人が言っていることだから」と盲目的に信じるのは危険だ。その人はもしかしたら、17年間「休眠中」のアカウントかもしれないのだから。

何年生きたかではなく、その間に何回挑戦し、何回失敗し、何回自分をアップデートしたか。それが、その人の「厚み」になる。何十年生きていても、何も挑戦していなければ、実質はゼロ年目と変わりはない。

放っておけば、自分の人生もまたすぐに「休眠アカウント」に成り下がる。ビジネスも人生も、大切なのは「何年経ったか」ではなく**「今、どれだけ動いているか」**だ。

学生のような純粋な好奇心を持ち続け、失敗を恐れずにトライアンドエラーを繰り返す。

そんな「現役(アクティブ)」な大人でありたいと思う。

年齢は自動的に増える。でも、成長は意識的な選択だ。

人生というアカウントを、ただうろうろと彷徨わせて終わらせないために。意識的に「未経験」の領域へ一歩足を踏み出し、年齢という数字ではなく、「自分を更新した回数」で勝負していきたい。

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