星野誠 makoto hoshino

『ファーストマン』挑戦者は勝手。残された家族ができることは家で待つことのみ

2019.2.12

すごく良い映画だけど、妻に見せたくない映画というものがある。

エベレストを登ろうとしていた時は『エベレスト3D』

世界がリアルすぎて、見せたら絶対反対されると思ったので、一切話は避けた。

 

そしてこれから宇宙を目指したいと思っている今、

妻に見せたくない映画がこの『ファーストマン』

デイミアン・チャゼル監督が描きたかったのは、

歴史的偉業よりも「家族の姿」というだけあって、

人類初、月面着陸という死と隣り合わせのミッションに挑む夫を支え、

母親として二人の息子を育てる宇宙飛行士の妻が抱える葛藤や

ストレスがありありと描かれている。

 

映画自体は、挑戦者の妻や家庭にフォーカスという意味で、

アメリカ初の有人宇宙飛行計画”マーキュリー計画”に従事した

7人の宇宙飛行士の実話を基に描いた映画、

自分の最も好きな映画の1つ『ライトスタッフ』にとても近いものを感じた。

 

デイミアン・チャゼル監督の映画は、

『セッション』などや『ラ・ラ・ランド』などにも

目標の達成に向かうことに伴う痛みが描かれているけれど、

『ファーストマン』にも、とても出ていた。

 

『ファーストマン』の内容自体は、

ネタバレになってしまうので、あまり書かないけれど、

自分が一番印象に残ったシーンは冒頭。

宇宙飛行士の選考合格と通知があったと妻に言うアームストロング。それに対し妻が、

「おめでとう!これから新たな冒険の始まりね!」(妻)

「are you sure?」(アームストロング役のライアン・ゴズリング)

本当にそう思っている???

16ミリフィルムで撮られていたこの会話。

この「are you sure?」

「are you sure?」

「are you sure?」

「are you sure?」

「are you sure?」

 

またもう一つ印象的だったシーンが、終盤、月にいく前の家族会議。

生死をかけて、冒険に挑戦する者と家族の中に絶対にあるであろう葛藤がありありと。

 

アームストロングの妻役の、ジャネット・アームストロング役のクレア・フォイもよかったし、

主演のライアン・ゴズリングも、勿論、とてもいい。

ライアン・ゴズリングは、以前からとても大好きな俳優で、

ライアン・ゴズリング主演の映画で、自分がもっとも好きな映画は、

2004年の映画『きみに読む物語 (原題 The Notebook)』。

ストーリーはめちゃめちゃざっくり言ってしまうと生涯の夫婦の話。

これだは定期的に見る。これが本当にいい!

『きみに読む物語』は、自分にとって、家族や妻に対する生涯の姿勢の指標になる映画。

『きみに読む物語』は今回の『ファーストマン』と真逆なので、是非一緒に見て欲しい。

何度見ても泣ける。どこでも泣ける。

エベレストの上位キャンプでも一人これを見て泣いてたし、

普通に仕事の合間でも泣ける。それぐらい泣ける。

 

挑戦者と残される家族という点では、

この『ファーストマン』の中の話ではないけれど、

アポロ計画で月面を歩いたという、12人のムーンウォーカーの最後の宇宙飛行士

ユージン・サーナンの別の番組で、

月から帰ってきたユージン・サーナンが幼い娘に

「パパは神様がいる月の近くに行ってきたんだよ」

と言った後の娘が言った一言が

「パパいつキャンプに連れていってくれる?」だったらしい。

その言葉をユージン・サーナンはいつまでも忘れないと言っていた。

 

またユージン・サーナンは幼い娘に

「パパが月に行くことの意味は幼ない君にはわからないかもしれない。

ただいずれ共有できる日がくるだろう」と手紙も出したというが、

その答えも「そんなことよりただ遊んで欲しかった」

それだけだったんじゃないかなのかもしれないと思った。

 

宇宙ではないけれど、自分の場合、

エベレストと7サミット登って帰ってきてから、

うちの娘からもらった手紙もまさにそのような感じだった。

結局そういうことなのかもしれない。

挑戦者は勝手。残された家族ができることは家で待つことのみ。

 

『ファーストマン』の主演ライアン・ゴズリングもインタビューで言っていた。

『これは月面着陸に挑戦する男の物語だと思うかも知れないけれど、

それよりも、いろんな意味で地上に戻ろうとする男の物語なんだ』と。

まさにそんなストーリーの『ファーストマン』とてもいい映画だった。

 

これから家族もいて、何かに挑戦しよう!と思っている人は『ファーストマン』とともに、

『きみに読む物語』を見ることを強く強く強く、オススメします!

 

先日、宇宙に対する意気込みを家族に焦点をあて、インタビューをしていただいた。

挑戦の大小や時代に関係なく、挑戦する者と家族の葛藤というのは、

いつの時代も、永遠の課題なのかもしれない。

「 家族のために、絶対死なない約束をして冒険へ 」 

 

 

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