チャーハンを我慢してシスる
自分は炭水化物が大好きだ。
炭水化物はとってもおいしい。
でも、そんな大好きな炭水化物を制限して1度危なく命を落としそうになった。
それは3年前、エベレストを目指し、初めてチャレンジした高所登山でのロシア。
向かっていたのは、7大陸最高峰の1つヨーロッパ最高峰の山、5,642mエルブルース。
行きの飛行機で、最強の山の師匠 倉岡さんがちょうど炭水化物を抜いていると聞き、
自分も急遽、炭水化物抜きを真似してみた。
ただ炭水化物は抜いても、その代わり肉はバンバン食べる。
エルブルースの麓の町は、羊肉がうまい!!本当にうまい!!
だから、炭水化物をぬいても、まったく問題ないと思ってた。
そんな素敵なロシア。初めての高所登山ロシア。
でも4000m以上5000mと高所に行くにつれ、
便はでなくなるし、頭はふらふら、体もフラフラに。
最初のハッピーロシアはすぐ吹き飛び、
もう人生初の高所登山の洗礼、高所登山、ここまで辛いのか!!
と完全にやられた。
やられすぎちゃって、倉岡さんと、一緒に登っていた友人のカズさんに無理言って
一度下山してもらった。
降りる時は、一度下界で休養したら、すべてをリセットできて、
再チャレンジできる、だからまったく問題ないと思ってた。
でも、実際は、下の街にきても、
高山病などは絶対出ない高度なのに、
頭のフラフラがまったく抜けなかった。
エルブルースの麓の街は病院もない辺鄙な街。この街じゃ、何も検査はできない。
ただ、その時、偶然にもロシアの特殊部隊の方々がエルブルースに特殊訓練に来ていたので、
特殊部隊のお医者さんに特別に自分の体を見ていただいた。
(本当は絶対に一般人などみてくれないけど、倉岡さんのお友達だったので)
で、いろいろと調べていただいたけど、結果は、まったく何の異常もなし!
でも常にフラフラ。これは、まさか精神的プレッシャー!?
結局原因はわからなかったけれど、いつまでも下界に留まってもいられないので、
再び登頂に向け、4000mの上部キャンプへ戻った。
でも、もちろん上に行ってもフラフラは治らなかった。
下にいてもフラフラは治らなかった。とにかくやばかった。
「初の高所登山にして最初から敗退??!!」
そのことばかりが頭をよぎった。
もう会う人会う人に「素人だけどエベレストに登るんです!」
なんて大風呂敷広げてたのに、初っ端から敗退!!?
そのことばかりが頭をよぎった。
そんな状態のまま、登頂日を翌々にむかえた最後の夕食
「誠さんがフラフラなのは、もしかして高山病じゃなく、突然炭水化物を抜いたからなんじゃない?」
という話題になって、試しに行きの飛行機から抜いていた炭水化物を登頂日の前日に再び食べてみた。
そしたら、心なしか、ちょっと元気になった。フラフラがちょっとだけ消えた。
で翌日、本番の登頂日。
今までまったく食べてなかったお米を行動食として沢山持って行った。
実際のところ、たくさんもっていった行動食も、
食べるときは、ほとんど凍っていて少ししか食べられなかったんだけど(笑)
でも、とにかくなんとか登頂できた。
でこの登頂後、感じた。
今回のフラフラは炭水化物を急に抜いたせいもあったかも。
それも若干でなく多いにあったかもと(笑)
師匠の倉岡さんは、しっかり1年ほどかけて
炭水化物を抜ける体にしていたので、勿論まったく問題なかったけれど、
自分の場合、行きの飛行機から突然抜いた付け焼き刃的な炭水化物抜き。
この差は歴然だ(笑)
あと、後々、高山病と炭水化物を抜いた症状を比較してみて気づいた。
そう、高山病と炭水化物を抜いたときの症状が被っている。
高山病の症状1「便秘」
高所は水分が不足するため便秘になりやすい。
急な炭水化物制限の症状1 「便秘」
炭水化物とは、糖質と食物繊維を合わせたものだから、
食物繊維が不足して便秘になりやすくなるらしい。
特にお米をぬくのは、いけない。
高山病の症状2 「頭が働かない」
高所で高山病になると酸素が頭に行かず頭がボーとする。
急に炭水化物制限の症状2 「頭が働かない」
糖質が頭にいかないので、常にボーとする。
高山病の症状3「パワーがでない」
高所で、高山病になると酸素が体まで行き渡らずフラフラになる。
急に炭水化物制限の症状3「パワーがでない」
人間は、本来肉だけで脂肪や油からエネルギーもとれるみたいだけれど、
現代人の多くは、長年炭水化物からエネルギーをとる体になっているから、
急に脂肪系生活に切り替えてもパワーがでない。
今回、自分は高山病だった。間違いなく。
でも、高山病とともに急激に炭水化物を抜いたことが、症状を倍増させていたっぽい。
あのまま、最後まで炭水化物を取らずに、
お米を食べず、お米も持って行かず山頂に行ってたら、
リアルに、山頂から帰ってこれなかったかもしれない。
山の上で動けなくなっていたかもしれない。
下手したら本当に死んでいたかもしれない。
結局、その日から炭水化物を完全に抜くことはやめた。
帰りの飛行機では、パンもご飯も食べた。
で、ロシアから帰国した後、真っ先にお気に入りの中華屋さんでチャーハンを食べた。
そのチャーハンは、やっぱりとっても美味しかった。
とってもとっても体にしみた。
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