星野誠 makoto hoshino

55日で太平洋横断した盲目でヨットマン 岩本光弘さん

2020.1.23

盲目のヨットマン 岩本光弘さんの記事を雑誌「致知」で読んだ。

35才でヨットを初め、盲目での太平洋横断を目指し、

2013年一度目の挑戦の際は、クジラとぶつかり11時間漂流して、陸上自衛隊に救助。その際、「余計な夢を持つから、こんなことになるんだ。おまえなんか家でじっとしていればいいんだ」などネットで相当バッシングをうけたらしい。

4年後「せっかく助けられたんだから、命を粗末にするな」という反対意見の中、2019年2月、2度目の決行。嵐にあい、5、6時間奮闘したのち、2019年4月、55日で太平洋を横断。

大変素晴らしい。

そして記事には、最近、講演活動をされていて、メンタルをいかにタフに保つかというというお話があり、『恐怖というのは、まだ起こってもいないことを自分の頭の中で膨らませることで生じる。恐怖を克服するのは感謝だ』ということが書いてあった。

自分もまさに8000mのチョーオユーを登っていた時に感じたことで、もっともだ!やっぱりそうなのか!と感心した。

ただ、これが講演でどの程度通じるか?

自分の昔の日記をみると、20代の時に「恐怖をなくすのは感謝だ」とまさにそのことを話されていた講演に参加していた。日記を見ると、どうやらその日は大変感心していたようだが、もう次の日には忘れてしまった。「恐怖をなくすのは感謝だ」と本当にそれが腹に落ちたのは、やっぱりチョーオユーで死にそうになった時だ。

その後、自分もエベレスト登頂後に招いていただいた講演で「恐怖をなくすのは感謝だ」という話をさせていただいたことがあるけれど、たとえ聞いている方がその場で感心していたとしても、やっぱりその日だけで、実際に嵐の中で死にそうになったり、病気で死にそうになったりと、何か本当に追い詰められた人じゃないとわからない。そんなものってあるんだろう。

そういうことを考えると、2時間の講演というのは、やっぱりその時限りのエンターテイメントで、まさに2時間の映画のようなもの。その時だけじゃ、まず人生はかわらない。ただ、たった2時間の映画でもなんどもなんども見返すと、自分の人生の血肉になることもあるように、2時間の講演もそのビデオを何回も何回も見れば、自分の血肉になるかもしれない。だから、講演会は映画をみるように、気軽に参加して、本当にいいなと思った講演会は、その動画や音声をなんども聴く。

そこまでして、やっとちょっとだけ人生変えられる可能性が出てくるのかも、そう思った。そして何より人生を変えるのは、講演会でなく、自分で海に出て行くことだ。自分で山を登りにいくことだ。100万の講演会より、間違いなく、人生は変わる。それは、まず間違いない。

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